あなたはだんだんきれいになる

  • カテゴリ:未分類
  • コメント:2件
  • トラックバック:0件


 あなたはだんだんきれいになる
                 高村光太郎

をんなが附属品をだんだん棄てると
どうしてこんなにきれいになるのか。
年で洗はれたあなたのからだは
無辺際を飛ぶ天の金属。
見えも外聞もてんで歯のたたない
中身ばかりの清冽な生き物が
生きて動いてさつさつと意慾する。
をんながをんなを取りもどすのは
かうした世紀の修業によるのか。
あなたが黙つて立つてゐると
まことに神の造りしものだ。
時時内心おどろくほど
あなたはだんだんきれいになる。

        詩集『智恵子抄』より



 高村光太郎は詩人として知られていますが、実は彫刻もよくする人です。『智恵子抄』を読めば、粘土で焼き物をこしらえたりもしていたことがわかります。智恵子さんは、光太郎を誰よりもよく理解した人で、彼女自身も芸術家でした。あまり社交的でなかったようですが、光太郎にとっては彼の創作意欲を刺激してくれる「美の女神」。同時に、彼女は光太郎の最愛の妻であり、彼の創造物を熱愛してくれる支援者でありました。生来の繊細な感覚で切り絵作品などを遺しておられる智恵子さん、愛情深く繊細な、非常に独特の感性を持つ女性であったのですね。

 もしも智恵子さんと出会わなければ、光太郎は後世にのこる仕事を成し遂げられなかったかもしれません。『智恵子抄』があまりにキレイ事すぎてどうにも・・・という人もおられますが、この1冊には他に類を見ない深い愛情がこめられていて、光太郎がどれほど智恵子さんを愛し、大切に思っていたかがよくわかります。彼女の病気に心いためて、死後もなお、彼女の面影を追い求め、愛しぬいた高村光太郎。彼はとても幸せな人だったと私は思います。

 生活苦に悩み、次第に心を壊されていった美しい人、それが智恵子さんでした。光太郎の詩にうたわれる彼女は、可愛くて美しくて優しくて、理想の女性として描かれています。そんなにも愛された彼女もまた、幸せだったはず、と思いたい。人の縁とは不思議なものですね。年をとって、附属品を棄てて、なおも美しさを増していく、そのような女性に、私もなりたいものです。


写真や記事がお気に召しましたら、バナーをクリック♪お願いします。
にほんブログ村 写真ブログ デジタル写真へ

ちいさい ねこ♪ のプロフィール@にほんブログ村

コメント

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。