映画レビュー「ディープ・ブルー」


「ディープ・ブルー DEEP BLUE」2005年12月26日

【ひとこと】
 海に還る90分間。

【感想など】
 イギリスBBC放送と、ベルリンフィルと、数多の科学者たちと、がっちりタッグを組んだ人々が丁寧に創り上げた壮大なドキュメンタリー。7年を費やし、200箇所を撮影、使ったフィルムたるや7000時間!こんなにも根気強く、ひとつのテーマに取り組んだ人たちがいたことにまず喝采を贈ろう。素晴らしい光景が惜しげもなく披露されているこの映画は、確かに一見の価値がある。知らなかった世界、誰も見たことのなかった海の表情を あますところなく伝えてくれているから。

 これは美しいばかりでなく、厳しい現実をも教えるフィルムだ。強いものが弱いものを食い、連鎖する 生命の環を感じる。残酷だと言うだろうか?コククジラの赤ちゃんが、母親から引き離されて、数時間もの追跡の後に、海のハンター・シャチの餌食になるシーンなど、惨すぎると感じるかもしれない。けれども海は、そのような場面さえも大きく包んで飲み込み、今日もゆったりと静まり返っている。あの蒼く蒼く透き通る水の奥底には、人知の及ばぬ世界がある。甘い感傷の通じない、自然の掟が支配する世界だ。

 深海にはネオンサインのごとく光を発する生物も生息している。そのまばゆさ、造形の妙に、必ずや嘆息をもらすだろう。ほれぼれと見つめる世界は、いまだかつて誰も、科学者でさえも見たことのない光景。ウミホタルの一種「ギガンドキプリス」などは宇宙からやってきた生物ではないのかと疑うような形状だ。よく見知っているはずのイカやクラゲまで、深海の暗闇で光を発していると、なんだか別の生き物のように思えてくる。長い触角が輝きながらゆらゆらとゆらめくさまを観てほしい。

 水上で暮らす北極グマやペンギンも、その生態をつぶさに見られて興味深い。特に海の中から陸地めがけて勢いよく次々に飛び上がってくるペンギンには思わず笑みがこぼれる。マイナス50度の凍てつく氷原、彼らが子育てのためにどれほど苦労しているかを見るにつけ、自然の厳しさを思う。子グマを連れた北極グマの母親が、飢えて白イルカに襲い掛かるシーンなどは他では見られない情景だろう。またオニミズナギドリの群れがマアジを追って水深15メートルにまで潜る様子も圧巻だ。研究者はこの映像を見るまでそのような生態を想像だにしていなかったらしい。このフィルムは研究資料としても非常に貴重なのだ。

 海は広大だ。時に厳しく恐ろしい顔を見せる。けれどもこの青い世界は、生命の源、私たちにとってかけがえのないもの。映画の間中、一匹の魚になって、一羽の鳥になって、広い世界を堪能する。この幸せ。劇場の大画面で観たら、どれほど素晴らしかっただろう。今更ながら、家のテレビでビデオ鑑賞となったことを悔やむ。心が荒んだ時にはこの映画を観て、こっそり癒されたいと思う。

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