マスカラまつげ



 10代、20代の、若かった頃には、メイクそのものにあまり興味がなかった。勤め始めてからでさえ、おざなりにファンデーションを塗って、スティックのままのピンクの口紅をさーっと引いて、アイシャドウはたまに使う程度。マスカラもビューラーも数年前に初めて買ったくらい。アイラインはいまだに引かない。

 自分の顔、嫌いだった。自信、そんなもの、どこを探したって出てきやしない。できれば鏡は見たくない、美人が羨ましい、いつも思っていた。私の容貌を好きになってくれる人がいるとは思えなくて、メイクアップもなんだかやるだけ無駄な気がしていた。

 でも・・・・

 女の子は、どうしても振り向いてもらいたい人の前では、精一杯綺麗になろうとする。自分のもってる感覚と、技を 最大限発揮して、いつもとは違う自分、今までとは違う私を 演出しようとする。マスカラって、そういう女の子の気持ちを代弁してくれるコスメではなかろうか。

 鏡の前に神妙な面持ちで座り、おもむろにビューラーを取り上げ、苦心惨憺、まつ毛をめいっぱい上向きにしたら、慎重にマスカラを塗る。コームでとかして、ダマをとって、1本1本のまつげが繊細なカーブを描きながら空へ伸びたら、それだけでもう、ワンランク上の「イイ女」になれたような気がしてしまう。気づいてくれるかな?気づいてほしいなぁ・・・・けなげな乙女心は、往々にして無残に踏みにじられるものだけれど。

 メイクすると、すっぴんよりもちょっとだけ、綺麗になれる気がする、最近の私。鏡を見るのは今でもあまり好きじゃないけれど(現実を見せつけられるので)、マスカラはいつも慎重に丁寧に塗る。ぱっちりお目目でニッコリ笑って

          うーん・・・・  少しは、魅力的に見えてるのかなぁ???
               
 そうして、鏡をのぞきこむ私は、「女の子」の顔になっているかもしれないな。もう「可愛い」も「綺麗だね」も言ってはもらえないのだけれど。寂しく感じつつも、マスカラはキッチリ塗るのだ。けなげな「女の子」の気持ちで。





Canon EOS 40D + TAMRON B003 or TAMRON A09


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